目次
はじめに
「あの申請フォーム、どこにありましたっけ?」「最新の就業規則が見つかりません」――社内で毎日こんなやり取りが発生していませんか?
チャットツールは情報がどんどん流れていってしまい、Googleドライブはフォルダ階層が深くなると迷宮化してしまいます。そこでおすすめなのが、Google Workspaceに標準搭載されている「Google Sites(Googleサイト)」を使って、社内の情報を一元管理する「社内ポータルサイト」を構築することです。
Google Sites最大の強みは、サイト内検索(虫眼鏡アイコン)にあります。ポータル内に検索窓が標準装備され、ページ名だけでなく、サイトに埋め込んだGoogleドキュメントやPDFの「中身のテキスト」まで横断的に検索してくれます(2025年7月より対応)。
本記事では、ノーコードでの基本操作から、実務で絶対にやってはいけない「権限とガバナンスの落とし穴」まで、組織のインフラとして安全に長期運用するための完全な手順を解説します。
1. 【超重要】絶対にやってはいけない「マイドライブ」での作成
サイト作りを始める前に、企業インフラとして最も重要なガバナンスの話をします。
初心者が一番やってしまう失敗が、個人の「マイドライブ」でポータルサイトを作成してしまうことです。この状態のまま作成者が退職しアカウントが削除されると、サイトの編集権限が誰にもなくなり、永遠に更新できない「孤立サイト(オーファン化)」になるという大事故に繋がります。
ポータルサイトは、必ず部門やチームの「共有ドライブ」の中で作成してください。こうすることで、作成者が退職しても、共有ドライブのメンバー全員が引き続きサイトの編集・管理を行うことができます。
正しい作成手順
- Googleドライブを開き、左メニューから「共有ドライブ」を選択します。(マイドライブではありません)
- 対象の共有ドライブ内で左上の「+ 新規」ボタンをクリックします。
- 「その他」→「Google サイト」の順に選択します。
組織のプランで共有ドライブが使えない場合は、作成後に右上の「共有(人型アイコン)」から、必ず他の管理メンバーを「編集者」として複数人追加してください。管理コンソールから共有ドライブの利用可否を確認することもできます。
2. ポータルサイトのベースを作成する
新しいタブでサイトの編集画面が開いたら、ベースを整えます。
- 画面左上の「無題のサイト」をクリックし、「〇〇株式会社 社内ポータル」とファイル名を変更します。
- 画面中央の大きなヘッダー部分(「ページのタイトル」と書かれた場所)に、サイトのタイトルを入力します。
- 右側のメニューにある「テーマ」タブを選択し、自社のコーポレートカラーに近い色使いやフォントを設定します。
テーマのカラーは後から何度でも変更できます。最初は標準テーマで作り始め、デザインは運用しながら調整するのがおすすめです。
3. 情報を配置する(Workspaceアプリの埋め込みとスマホ対策)
ポータルサイトの真骨頂である、各種アプリの配置を行います。画面右側の「挿入」タブを使います。
レイアウトを活用して見やすく配置
いきなり文字を打ち込むのではなく、「挿入」タブ内にある「レイアウト」(画像とテキストがセットになったブロック)を左側の画面にドラッグ&ドロップし、「各種申請フォーム」「社内マニュアル」といった見出しをつけましょう。右メニューから「フォーム」や「ドキュメント」を選べば、サイト内に直接ファイルを埋め込むことができます。
Google Sitesはスマホ対応ですが、横に長いスプレッドシートをそのまま埋め込むと、スマホ画面では非常に見づらく操作性が最悪になります。用途に応じて使い分けてください。
| コンテンツの種類 | 推奨する方法 |
|---|---|
| PCメインの資料(ドキュメント、スライド) | そのまま「埋め込み」でOK |
| スマホからの閲覧・入力が多い資料(スプレッドシート等) | 「ボタン」機能でリンクを設置し、別タブで開かせる |
| Google Formsのアンケート・申請 | そのまま埋め込みでOK(スマホ対応済み) |
右メニューの「ボタン」機能を使って「売上管理シートを開く」というリンクボタンを設置すると、スマホユーザーにとって格段に使いやすくなります。Google Formsはスマホ最適化済みなのでそのまま埋め込んでOKです。
4. 複数ページ作成と「お知らせバナー」の活用
情報量が増えてきたら、右側の「ページ」タブから下部の「+」ボタンをクリックし、「人事・総務用ページ」「ITサポート」などページを分割しましょう。自動で上部にナビゲーションメニューが生成されます。
実務のポータル運営で非常に便利なのが「お知らせバナー」機能です。画面右上の「歯車アイコン(設定)」→「お知らせバナー」を開き、「バナーを表示」をオンにします。「〇月〇日 システムメンテナンスのお知らせ」といったメッセージとリンクを設定すると、全ページの一番上に目立つテロップを表示できます。緊急の周知事項がある際に大活躍します。
5. 【致命的な落とし穴】ファイル自体の「権限」エラー
サイトのデザインが完成し、いよいよ公開…の前に、初心者が必ず陥る落とし穴を回避します。
Google Sitesに埋め込んだドキュメントやフォームは、「サイト自体の閲覧権限」とは別に、「ファイルそのものの共有設定」が適用されます。サイトを全社員に公開しても、埋め込んだドキュメントの共有設定が「自分のみ(非公開)」のままだと、他の社員には「アクセス権限がありません」というエラー画面が表示されてしまいます。
ポータルサイトに埋め込む(またはリンクする)すべてのファイル・フォルダは、必ず元のGoogleドライブ上で「〇〇(自社名)のユーザー(閲覧者)」に共有設定を変更しておいてください。公開前に必ず全ページをシークレットウィンドウで確認するのがベストプラクティスです。
6. サイトを社内限定で「公開」する
最後に、サイトを公開して社員にURLを共有します。社外の人に見られないよう、セキュリティ設定を確実に行います。
- 画面右上の青い「公開」ボタンをクリックします。
- 「ウェブアドレス」の欄に、URLの末尾となる英数字を入力します(例:portal-2026)。
- 「サイトを閲覧できるユーザー」が「〇〇(自社名)のユーザー」となっていることを必ず確認してください。「全員(一般公開)」になっている場合は「管理」をクリックして自社のみに変更します。
- 「検索設定」の「一般公開の検索エンジンに自分のサイトを表示しないようリクエストする」にチェックを入れます。
- 青い「公開」ボタンをクリックします。
公開完了後、画面上部の「リンク(鎖のアイコン)」からURLをコピーし、社内のチャットやメールで周知しましょう。詳細はGoogle Sites公式ヘルプもご参照ください。
まとめ:ポータルサイトは「アジャイル」に育てる
Google Sitesを使えば、情シス部門に負担をかけることなく、現場主導で安全かつ高機能な社内ポータルを構築できます。
最初は「よくある質問」や「社内システムへのリンク集」など、小さくシンプルな構成からスタートで構いません。運用しながら現場の要望に合わせてページやボタンを増やしていく、柔軟な(アジャイルな)改善こそがポータルサイト成功の鍵です。最新のGoogle Sites情報はWorkspace Updates Blogでも確認できます。