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Google Workspaceを導入すると、ユーザー追加やGmail、Google Driveの利用設定などは比較的すぐに始められます。一方で、見落とされやすいのがGoogle Workspace Admin Consoleのセキュリティ設定です。

初期設定のままでもGoogle Workspace自体にはさまざまなセキュリティ対策が組み込まれていますが、会社や組織で使うのであれば、2段階認証・管理者権限・Google Driveの外部共有・Gmailのメール認証・サードパーティアプリ・端末管理・監査ログなど、管理者側で確認しておきたい項目があります。

特にGoogle Workspaceは、GmailだけでなくDrive、Docs、Meet、Chatなど多くのサービスを1つのGoogleアカウントで利用します。そのため、1つのアカウントが不正アクセスを受けると、メールだけではなく社内ファイルや共有ドライブなどにも影響が広がる可能性があります。

この記事では、Google Workspaceを導入したばかりの管理者向けに、Admin Consoleで最初に確認しておきたいセキュリティ設定をまとめます。Google Workspace全体の機能概要はこちらの記事もあわせてご覧ください。

注意

本記事は2026年8月時点のGoogle公式情報をもとにしています。Google Workspaceは機能追加や管理画面の変更が頻繁に行われるため、実際の設定時はGoogle公式ヘルプも確認してください。

まず確認したいGoogle Workspaceのセキュリティ項目

最初に一覧にすると、優先順位はおおむね次のようになります。

項目優先度主な目的
2段階認証★★★アカウント乗っ取り防止
管理者アカウントの保護★★★組織全体への被害防止
SPF・DKIM・DMARC★★★なりすましメール対策
Drive外部共有★★★情報漏えい防止
サードパーティアプリ★★☆OAuth経由の情報流出防止
Gmailの高度な保護★★☆フィッシング・マルウェア対策
端末管理★★☆PC・スマートフォン紛失対策
監査ログ★★☆不審な操作の確認
セキュリティセンター★★☆リスクの可視化
ランサムウェア対策★★☆Driveファイル保護

時間がない場合でも、まずは「2段階認証」「管理者アカウント」「メール認証」「Driveの外部共有」の4つは確認しておきたいところです。

1. 2段階認証を有効にする

Google Workspaceのセキュリティ設定で、最初に確認したいのが2段階認証です。パスワードだけでログインできる状態では、パスワードがフィッシングなどで漏れた場合、そのままアカウントを乗っ取られる可能性があります。

2段階認証を有効にすると、パスワード・スマートフォン・セキュリティキー・パスキーなど、追加の認証が必要になります。Googleは現在、管理者アカウントに対して2段階認証の適用を強化しています。管理者は一般ユーザー以上に権限が強いため、特に保護が重要です(「About 2SV enforcement for admins」公式ヘルプ)。

管理者だけではなく一般ユーザーも対象にする

よくあるのが、「管理者だけ2段階認証にしておけば大丈夫」という設定です。

重要

もちろん管理者の保護は最優先ですが、一般ユーザーのアカウントにも、Gmail・Drive・Calendar・Chat・Docsなどの業務情報が入っています。可能であれば、組織全体で2段階認証を適用した方が安全です。

2. スーパー管理者アカウントを普段使いしない

Google Workspaceでは、最も強い権限を持つアカウントを「スーパー管理者」と呼びます。スーパー管理者は、ユーザー管理・パスワード変更・セキュリティ設定・アプリ設定・ドメイン管理・管理者権限変更など、組織全体に影響する操作ができます。便利ですが、それだけに乗っ取られた場合の影響も非常に大きくなります。

重要

そのため、「普段のメールや資料作成にスーパー管理者アカウントを使わない」という運用がおすすめです。例えば、普段使う一般アカウントと管理作業用の管理者アカウントを分けておくと、管理者アカウントが危険にさらされる機会を減らせます。

また、スーパー管理者を1人だけにすると、退職やアカウント障害があったときに困るため、複数名を適切に設定しておくことも重要です。

3. SPF・DKIM・DMARCを設定する

独自ドメインでGmailを使う場合、ぜひ確認しておきたいのがメール認証です。主に次の3つがあります。

  • SPF:そのドメインからメールを送信してよいサーバーを指定します。
  • DKIM:送信メールに電子署名を付け、途中で改ざんされていないことを確認します。
  • DMARC:SPFやDKIMに失敗したメールをどう扱うかを指定できます。

これらを設定すると、自社ドメインを使ったなりすましメール対策になります。例えば、自社ドメインが example.co.jp だった場合、攻撃者がそのドメインを装ったメールを送信することがあります。SPF・DKIM・DMARCを適切に設定しておけば、受信側のメールサーバーが偽装メールを判断しやすくなります。メールを使う会社であれば、優先度の高い設定です。

4. Google Driveの外部共有設定を確認する

Google Workspaceでは、Google Driveを使って簡単にファイル共有ができます。

警告

便利な一方で、「リンクを知っている人全員」のような設定を使うと、意図しない相手にファイルが見られる可能性があります。特に、顧客情報・見積書・契約書・社内資料・開発資料などを扱う場合は、外部共有のルールを決めておいた方がいいでしょう。

例えば、組織外への共有を禁止・特定の組織部門だけ外部共有を許可・警告を表示・共有ドライブごとに制限、といった設定が可能です。完全に外部共有を禁止すると業務上不便になる会社も多いので、「禁止する」より「どこまで許可するか決める」という考え方が現実的です。

5. サードパーティアプリのアクセスを確認する

Google Workspaceでは、他社サービスとGoogleアカウントを連携できます。例えば、CRM・Slack・Notion・AIツール・スケジュール管理・ファイル管理サービスなどです。

多くの場合OAuthという仕組みを使い、「Google Driveへのアクセスを許可しますか?」「Gmailへのアクセスを許可しますか?」といった画面が表示されます。問題は、一度許可したアプリをそのまま忘れてしまうことです。数年前に試したアプリが、Gmail・Google Drive・Google Calendarなどへのアクセス権を持ち続けている可能性もあります。

ヒント

定期的に不要なアプリを確認し、使っていないものは削除しておきましょう。なお、Google Workspaceでは2025年5月以降、ユーザー名とパスワードだけを使う旧式の「安全性の低いアプリ」のサポートが終了し、OAuthなどのより安全な認証方式が必要になっています(「Transition from less secure apps to OAuth」公式ヘルプ)。

6. Gmailのフィッシング・マルウェア保護を確認する

Google WorkspaceのGmailには、標準でも強力な迷惑メール・マルウェア対策があります。ただし管理者側で追加のセキュリティ設定も確認できます。例えば、なりすまし対策・不審な添付ファイル・危険なリンク・暗号化された添付ファイル・不正な送信者などに対して警告や隔離を行えます。

実例

特にフィッシングメールは、「Googleからのお知らせ」「Microsoft 365の更新」「請求書を確認してください」など、業務でよく使うサービスを装うことがあります。ユーザー教育も重要ですが、管理者側の保護機能も併用した方が安全です。

7. 端末管理を確認する

Google Workspaceはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットから利用されることも多いです。例えば社員がスマートフォンでGmail・Drive・Calendar・Chatを使っている場合、端末を紛失すると会社の情報にアクセスされる可能性があります。

Google Workspaceには端末管理機能があり、端末情報の確認・アクセス制御・画面ロック・アカウント削除・リモートワイプなどが利用できます。利用できる管理機能はプランによって異なるため、Starter、Standard、Plusの違いも確認しておきましょう。

8. 監査ログを確認できるようにしておく

セキュリティ設定というと「攻撃を防ぐ」ことだけを考えがちですが、「何か起きたときに原因を調べられること」も重要です。Google Workspaceでは管理画面からさまざまなログを確認できます。例えば、ログイン履歴・管理者の操作・Driveの操作・Gmail関連・OAuthアプリ・端末情報などです。

普段から毎日ログを見る必要はありませんが、「知らない場所からログインされた」「ファイルが勝手に共有された」「管理設定が変更されている」といった問題が起きたときに確認できるよう、どこからログを見るのかは把握しておいた方がいいでしょう。

9. Security Centerを使えるプランなら確認する

Google WorkspaceにはSecurity Centerというセキュリティ管理機能があります。セキュリティ上の問題やリスクをまとめて確認でき、不審なログイン・マルウェア・データ共有・セキュリティアラート・ユーザーリスクなどの把握に役立ちます。

重要

ただし、Security Centerで利用できる機能はGoogle Workspaceのエディションによって異なります。「Google Workspaceを契約すれば全員同じSecurity Centerが使える」とは考えない方がいいでしょう。自分が契約しているプランでどこまで使えるかを確認してください(詳細は「About the security center」公式ヘルプ)。セキュリティのベストプラクティスまとめ記事でもプランごとの違いを解説しています。

10. ランサムウェア対策もDrive側で進んでいる

近年はGoogle WorkspaceにもAIを使ったセキュリティ機能が追加されています。Google Driveではランサムウェアなどの不審なファイル変更を検知し、被害拡大を防ぐ仕組みが強化されています。

クラウドストレージだからランサムウェアとは無関係、というわけではありません。感染したPCから大量のファイルが暗号化され、その変更がクラウドへ同期される可能性もあります。そのため、PC側のウイルス対策・Google Workspaceのセキュリティ設定・バックアップ・権限管理を組み合わせて考えることが重要です。

11. Geminiを使う場合はWorkspace Intelligenceの設定も確認する

2026年現在、Google WorkspaceではGeminiがGmail、Drive、Docs、Calendar、Chatなど複数のサービスと深く連携するようになっています。管理者はWorkspace Intelligenceを通じて、GeminiがどのWorkspaceサービスの情報を参照できるか制御できます。

Google公式では、対象としてGmail・Drive / Docs / Sheets / Slides・Calendar・Chatなどが案内されています(「Introducing Workspace Intelligence, with admin controls」公式ブログ)。

Geminiを業務で使う会社では、「AIを使うか使わないか」だけではなく、「AIにどの社内情報へのアクセスを許可するか」という管理も重要になっています。2026年以降は、この設定もGoogle Workspace管理者が確認すべきセキュリティ項目の1つになっていくでしょう。

Google Workspaceのセキュリティ設定は「一度やったら終わり」ではない

Google Workspaceは頻繁に新機能が追加されます。特に最近は、Gemini・Workspace Studio・AIエージェント・サードパーティ連携・MeetのAI・Docs / SheetsのAIなど、利用できる機能が急速に増えています。Google公式でもBusiness Standard / Plusを中心に新しいAI機能が相次いで追加されています。

機能が増えること自体は便利ですが、その分、「誰が、どのデータへ、どこからアクセスできるのか」を定期的に確認する必要があります。

重要

個人的には、少なくとも半年に1回程度、ユーザー一覧・管理者・2段階認証・外部共有・OAuthアプリ・端末・セキュリティ設定を見直すことをおすすめします。

まとめ

Google Workspaceを導入すると、GmailやDriveなどの便利さに目が行きがちです。しかし会社で利用するのであれば、Admin Consoleのセキュリティ設定も非常に重要です。

特に最初に確認したいのは、2段階認証・管理者アカウント・SPF/DKIM/DMARC・Driveの外部共有です。その後、サードパーティアプリ・Gmailの保護・端末管理・監査ログ・Security Center・Gemini / Workspace Intelligenceなどを確認していくといいでしょう。

Google Workspaceはセキュリティ機能もかなり充実していますが、契約しただけですべての設定が自社に最適化されるわけではありません。管理者が一度Admin Consoleを開き、「今、どのような設定になっているのか」を確認しておくだけでも、大きな違いがあります。管理コンソールの基本操作についてはこちらの記事もあわせてご覧ください。

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